オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

書かれる側は無防備だから

ジェーン・スーさんの「生活は踊る」というラジオが好きです。その中で、読者の悩みにこたえる「相談は踊る」というコーナーが一番すき。少し前に、ブログを始めた女の子から相談がありました。その子は彼氏とのやり取りをブログに書き、書くことがすごく楽しい。だけど、それを見た彼は、自分のことを書かないでほしいと彼女言った。
 
「書かれる側は無防備だからね」
ジェーンさんは、その彼女に色んな意見を言ったのだけど、その中でぽつりと言ったその言葉が印象に残った。書く側はいくらでも言葉を並べられるけれど、相手は反論することはできない。書かれる側は無防備だ。
 
そういえば、先日を本を出版しました。
オナホ売りOLの日常

オナホ売りOLの日常

  • 作者:堀江 もちこ,菅原 県
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/10/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 わたしは今回の本で、自分の周りで起きている出来事を書きました。周りの人からは、良い意見もあったけれど、そうではない意見もいくつかあった。書くことはとても難しかった。

 
 
記者やジャーナリストの知り合いは何人かいて、本を書く際は色んな人にアドバイスをもらっていた。取材対象者との距離感に関してもたくさんアドバイスをもらった。
 
「自分の書いたものを悪く言われることもある。だけど、それは気にしてはいけないよ」
ある報道記者の人はそう言ってくれた。そして、こうも言った。「個人に危害を与えるようなものを書いてはいけない。だけど、書く権利もあるはずだと思う。そして、書く以上は自分に対する批判に耐えなくてはいけない」自分もたくさん批判されたと、彼は言った。取材対象から意見を言われたこともある。でも、それが真実ならば、書いていいはずだ、戦っていいはずだ、と言う。
 
「書くことはある意味傷つけることだからね」
あるジャーナリストの人はそう言ってくれた。彼は、もし取材相手とトラブルになったときは、ちゃんと分かり合うようにと、助言をくれた。そして、彼自身も、取材対象者とのやり取りが破たんしてしまったこともあったと、教えてくれた。
 
書くことは、無防備な誰かを傷つけること。だけど、それでも伝えたいことはある。わたしは、この業界の偏見をなくしたいとか、この業界で働く女の子の働きにくさをなくしたいとか、この業界で頑張っている人を知ってほしいとか、そんなつもりで書いたけれど、全ての人にとって、素晴らしい内容にはならなかったのかもしれない。
 
この本を書く前や書いている途中は、文章を書きたくて、自分の考えを伝えたくて仕方なかった。だけど、書き終わったとき、書くことが少し怖いなあと思ってしまっている。今まで誰かを批判する内容も、自分の意見も、自由に素直に書けた。だけど今は、自分に対してのマイナスな意見が怖いなあと思う。
別に、文章が下手だとか、内容がつまらないとか、作品に関して悪く言われることは、全然かまわないし、言われ慣れている。そうじゃなくて、書くことで誰かを傷つけてしまわないか、不誠実な対応をしてしまっていないか、怖くなっている。どうにか、これに関しての答えを見つけないといけないけれど、わたしはまだ答えを出しきれてない。