オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

セクハラ問題で#MeTooが軽くなる

財務省事務次官のセクハラすごい問題になってますね。

www.huffingtonpost.jp

事務次官の発言は、品がないなとも思うし、くだらないなとも思うけど、東京大学まで出た優秀な官僚を辞めさせるほどの問題なのかなと思うし、こんな話題も毎日、毎日、テレビで流す必要あるのかなと疑問に思う。

おっぱい揉んでいい?って言われたら、「そういうこと言うなら、言ったこと全部録音して報道しますよ?」といえばよかったのに。記者という立場があるとはいえ、仕事であっても、嫌なものは嫌と言えばいい、それでも止めなかったときに、伝えた通り、こういった形で週刊誌に載せるなら分かるけど、相手になにも言わずに、いきなり報道に載せるところに、少し残酷だなと思った。

 

◆セクハラとレイプは違う

今、#MeTooが流行っているけど、「女性が嫌と言えなかったことで起きた問題」と「女性の意思を無視されて性的な被害にあう問題」が同じ案件として扱うのはよくないように私は思う。

たとえば、伊藤詩織さんのように、自分の意思と関係なく、お酒や薬で意識をなくされて性的に被害に合う場合と、「やめてくれないと、次の手段にでます」と言えず、加害者側がセクハラしている意識はなく、被害にあう場合では違うように思う。

嫌なら嫌といえばいいし、それで、自分に対して不利なことをしてきたら、そのとき、記者として報じればいい。経産省担当の記者だったのなら、取材担当者と記者として関係性を築くように、分かりあうように努力して、それでもダメだったときに報じたらいいのにな。もちろん、この記者の方が、それまでなにをしてきたか私は当事者でないから分からない。それでも、盗聴され、報道された側面だけ見たら、私は事務次官側が可哀相だなと思う。

mochi-mochi.hateblo.jp

mochi-mochi.hateblo.jp

 

◆しゃべりたいスイッチを押すのが記者の仕事

これは、わたしの過度な要求かもしれないけれど、記者だったのであれば、彼の“しゃべりたいスイッチ”を押してあげたらよかったのになと思う。聞き役に徹するようにして、自分の話をせずに、すきなだけ話させてあげたらいいのに。うまく聞き役に回れば、自分の性的な話なんかしなくなって、会話はできる。

私が好きなライターで永沢光雄さんという方がいます。AV女優というAV女優へインタビュー集の巻末、民俗学者大月隆寛さんから永沢さんへのインタビューがあります。そこで、永沢さんは、こんな風に話しています。

ずっとこの仕事やってて、ほんとにみんなどの子もしゃべりたいことを持ってんだな、と思いますよ。みんな忙しい中ちょっと時間とってもらって、その喋りたいボタンをポッと押すのが僕の仕事なんですよね。で、いざ押してしまうと、あとはもうやることない。

じゃあ、何してるかっていうと、相手の表情見てるのね。あいづちうってる。うん、うん、って。それで相手の話をフォローするのね。はあー、とか感心して、あと、ここだな、と思うところで目を見てあげるのね。後でテープ起こししながら、ああ、俺ってほんとにあいづちはうまいなあ、と

AV女優 (文春文庫)

AV女優 (文春文庫)

 

 

90年代、クリスタル映像の看板女優だった黒木香。彼女は、突然失踪するのですが、失踪から数年後にある女性ライターからのインタビューを受けています。踏み込んだインタビューでしたが、記事が発表された後、黒木香は、泊まっていた宿の窓から飛び降り、重傷を負う。この記事に関して、永沢さんはこう話している。

あれ読んで、なんか、いじめ以外の何ものでもないなあ、なんでこの状態の彼女にこれだけしゃべらせなきゃいけないのかな、なんで女の人ってやさしくないんだろ、って思った。

三時間でも四時間でもお話ししたんだから、その人がこれから元気になるようなものを書かなきゃしょうがないだろう、と。とにかくあそこまでしゃべっちゃう人なんだから、そういう状態なんだから、こっち側で書いちゃっいけないところを考えて守ってあげないといけないのに。あれを書いた人と会ったことはないけど、きっと話を聞きながら頭の片隅で、『あ、これもらいッ』とか点滅してそうだなぁ、なんかそんな感じがした

物書きは、人殺しにもなる仕事です。それは比喩でもなんでもなく、実際にインタビューしたことがきっかけで、取材対象を追い込んでしまうかもしれない。いじめ以外の何ものでもないことをしてしまうかもしれない。だから、取材対象へのやさしさが必要だと思うんです。

新潮の記事を私も読みましたが、この福田さんという方は奥さんと二人暮らしで、犬の散歩が日課。お子さんはいないようです。両親がいて、夫が働き、子供がいる、そんなふつうの昭和の家庭を、東大卒の国家公務員という立場で選ばなかったのは、事情があるように邪推してしまいます。もしかしたら、彼の普通でないその部分に話したいスイッチがあったのではないか。「奥さんとはご無沙汰なんですか?」と笑って聞いてあげたらどうなったんでしょうね。