オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

5年後、エロビデオ屋はなくなるかもしれない

この前、社外のAV監督さんと飲みいってきたんですよね。「AV売れないですね、このままじゃなくなりますよね」と話すと、彼は「エロはなくなんないでしょ」と話す。

「いやいや、セル店(ビデオ販売店舗)潰れてますよ」

「そうだね、5年以内に三分の一くらいになるんじゃないかな」

「DVD売れなかったら、業界なくなりますよ」

「配信でお金をもらえばいいよ」

「配信って言ってもDVD盤の売り上げをカバーできるほど売れます?」

「1本で大ヒットを考えている?大きな需要をねらわないで、細切れにして、安く売っていけばいい」

彼はちょっと変わった方法で女の子のパンツが見られるパンチラ動画を撮影していました。絡み、所謂、セックスはない動画です。しかし、配信サイトのみで販売し、利益はでていると言います。セックスシーンがなく裸にもならいので、出演モデルのギャラは安い、尺も短いので、編集の手間もかからない、DVD盤にしないので流通コストや盤にするコストもかからない。買う人は少ないけれど、そもそも原価が安いので利益にはなるようです。需要が少なかったとしても、原価が安く、少額でも利益になる商品をたくさんだしていけば商売としては成り立っていける。

◆「ほぼ日」と同じ商法

先日読んだ「AIvs.教科書の読めない子どもたち」に似ていることがかいてあったなって思ったんですよ。最後の章「そしてAI世界恐慌がやってくる」ではAIが広まった未来の世界を予想しています。AIに多くの仕事が奪われていくなかで一筋の希望があるとして、以下の文章を続けます。

 

私が今、一番可能性を感じているのは、80年代に一生を風靡したコピーライターである糸井重里さんが実践している「ほぼ日刊イトイ新聞(ほぼ日)」と言う「商い」の在り方です。「ほぼ日」は日々大勢が閲覧するウェブサイトであるにもかかわらず、広告で稼いでいるわけではありません。「ほぼ日手帳」という手帳の他、手仕事で作った洋服やセーター、本などを販売しています。

興味深いことに、売られている多くの商品、特に衣料品には「在庫なし」の商品が散見されます。つまり、すぐに売り切れてしまうくらい少量しか生産しない、あるいは生産できないため、需要がいつも供給を上回っているのです。そして、類似品がありません。

「セーターなんて他にいくらでも安いのがあるじゃないか」とおっしゃるかもしれません。でも、違うのです。「ほぼ日」の商品にはすべてストーリーがあります。魅力的な作り手の人柄、なぜその商品が「そこに在るのか」、そのストーリーに消費者は魅かれているのです。

「ほぼ日」でセーターやブラウス、「穴かがり」ストーリー付きの商品として販売しておられる方々は、好きなモノづくりをして、大金は稼いでいないとしても、楽しく、人間らしく、誇りを持って生活できているはずです。そこにあるのは、経済学者たちが常に論じている、競争が行き着いた先の理想的な自由経済ではありません。需要が供給を微妙に上回っていて、同じものが他に存在しないために、ある種の「独占」が起こっている新しい時代のマーケットの姿です。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

 

 爆発的なヒットにはならないけど、需要を供給が微妙に上回る。そこをねらって少額のお金を稼いでいく。そういえば、弊社でも他のメーカーの作った作品をかわりに流通販売することがあります。自社で作った作品よりもぜんぜん売れないのに、販売を続ける理由が不思議だったのですが、すでに撮った素材をまとめているので原価が安いんですよね。コストがかからないから、少ない本数しか売れなくても利益になっているんです。今後は需要と制作コストの見合うラインが求められてくるんだろうな。

◆売る物ではなく売り方を変える

あと、もうひとつ思ったのは、売る方法を変えるというのも手かなって。コピーライターの川上 徹也さんの書いた「売れないものを売る方法? そんなものがほんとにあるなら教えてください!」には、同じ商品でも売る方法を変えて、売り上げを伸ばした商品を紹介しています。

 たとえば、ある畳店は、深夜に畳の張り替えサービスを開始することでディナー営業する飲食店から、閉店後に施工する受注を獲得しました。今では全世界に展開されている衣料品店、ユニクロは、最初に店舗を出した際は朝6時から営業し、通学前の学生に立ち寄ってもらったと言います。

前述のパンチラ動画は、DVDの盤面で販売はしていません。さらに、時間も数十分と短い。そのかわり、幅広い動画サイトにだしているといいます。AVは盤にして売る物、長尺がいいという従来の売り方を捨てることで成功につながっている。同じ商品であっても、売り方を変えるだけでも、新しい道は見えてくる。

 お話した監督さんに限らず、各メーカーの制作は配信に力をいれつつあります。なかでもVR動画はその傾向が強いように思います。店舗でVR動画を売る方法が限られているというのも理由でしょうが、盤面を作って流通するコストを削減しているのかもしれません。

◆あと5年で業界は大きく変わる

「業界全体、売れなくて厳しい、厳しいって言うけど、稼いでいる人は稼いでいるんだよね」。前述した監督さんはこう言っていました。AVの売り上げが下がる今だけど、今の時代にあった売り方って何かしらあって、そのやり方を見つけた人は残っていけるのかな。

これからの数年で業界は大きく変わる。彼のいうように実店舗は減るだろうなと、営業している私自身も感じています。実際、担当店舗で閉店した店舗もある。長くAVの営業をしているので、店舗の担当者さんにたくさん仕事を教えてもらいましたし、上司よりお世話になった方もいます。みんなすごく良い人で、良い店だと思います。だから、店舗が少なくなるすごく悲しい。悲しいけれど、違う売り方を考えていかないといけない時期かもしれない。いいもの作っていれば、売れる時代じゃないんだよね。