オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

市川まさみのストーカー被害から見える理想のAV女優を求めすぎる弊害

「デマンドさんも大変そうですよね」

店舗の商談の最後に雑談することは結構あって、その日は、AV女優の市川まさみちゃんがストーカーの被害にあった事件について話した。犯人は、彼女のイベントで刃物を持って現れたこともあったと、報じられている。

www.nikkan-gendai.com

 

「でも……そこまで、いかなくても、AV女優さんに対して、過剰な気持ちをもってしまう人はいますよね。昔、AV女優さんのイベント後に、彼女が忘れていった手紙を拾ったんですけどね、そこにホテルの住所と自分の電話番号が書いてあって、ここで待っていると、書いてあったんですよ」

わたしは、それを聞いて、怖いなと思った。もしかしたら、人によるのかもしれないけれど、セックスしたいと思っていない異性から、性的なことを迫られるのは、わたしは嫌だなあ。自分が望んでいないのに性行為を強制されそうになるのは怖い。だけど、別に、それは、その相手が嫌いなわけではない。セックスはしたくないけれど、話したい相手も、会いたい相手もいる。そんなふうに会いたいと思う人であっても、性的な関係を求められると、嫌だなと思う。好きな相手であっても、距離を縮められすぎると怖い。そこの距離感はすごく難しいんだけどね。店舗の人は「忘れ物」と言ったけれど、わたしは、女優さんは、怖くなっておいて行ったのかもしれないな、と思った。

 

◆理想のAV像を作る負担

可愛くて、きれいで、優しくて、エロい……多くのAV女優さんが、男性にとっての理想の女の子だと思う。だけど、それは彼女たちが努力して「AV女優像」を作っている部分もある。昔、ブログで書いたけれど、やさしくて、一生懸命で、丁寧なAV女優さんがマネージャーさんと二人きりで話す一瞬だけ砕けた雰囲気になっていて、私たちの前ではがんばっているんだなと思った。

mochi-mochi.hateblo.jp

 今見ているAV女優さんは、彼女たちの努力で作り込まれた虚像だと思う。だから、イベントのときは、理想の女の子として、優しく、丁寧に接して、いつも笑ってくれる。エロいことも言うし、セクシーなポーズで写真に応じてくれる。だけど、それは、仕事のときだけ作られるAV女優像だと思うんですよね。その姿を、仕事以外にまで求めてしまうのは、彼女たちの負担になってしまうように、わたしは思う。

イベントをやっていると、AV女優さんは、みんな一生懸命で、ファンの名前を全員覚えたり、お客さん一人ひとりに手作りのプレゼントをあげたり、イベント内容以上のサービスをしている女の子もたくさんいる。だけどね、それは、彼女たちが、私たちメーカーやお客さんたちのために、必要以上にがんばってくれているということなんだよね。それはすごくありがたいし、嬉しいけれど、「当たり前」と思ってはいけないと思う。

イベント告知に書いてある内容は、やらないといけないこと。だけど、それ以上は、プラスアルファの彼女たちのサービス精神で成り立っていることだと思うんです。もちろん、それをしてほしいと思う気持ちは分かる。わたしも女優さんには、ファンに好かれて欲しいと思う。お客さんに喜んでほしいとも思う。だけど、それで、無理をして女の子の心が潰れてしまってはいけないよ。

前述した市川まさみちゃんにストーカーした男性が、加害に至るきっかけは、プレゼントをツイッターに載せなかったことだと報じられています。

白木容疑者はかつてプレゼントを渡したにもかかわらず、本人のツイッター上でそれに言及がないことを逆恨みし、市川を誹謗中傷するツイートを繰り返していたため、7月に市川の所属事務所からイベントへの“出禁”を言い渡されていたんです。

 わかる、わかるよ、好きな女の子のためにプレゼントを選んで、自分の働いたお給料で買って、喜んでほしいと思う気持ちはわかる。だけどね、AV女優さんが理想の女の子でいないといけないのは、ギャラをもらって働いているイベント会場と撮影現場だけで、その以上を期待してしまうのは、彼女たちの負担になってしまうんじゃないかなと思う。SNSを仕事に含めるかどうかは個々人によって違うだろうけど、わたしはギャラがでない以上、それは彼女たちの善意やサービス精神からの発信だと思っている。

 

◆一徹の言う「無理のない範囲で応援してほしい」という言葉

わたしはメーカーの人間なので、ひとりでも多くのお客さんにイベントに来てほしいと思う。お客さんと話すのは楽しいし、ツイッターや直接会ったときに「●日イベントだから来てください!」と言う時もある。だけど、最近は、口にしては言わないけど、無理をしすぎないで、とも思う。ディズニーランドでミッキーマウスと写真を撮るのが楽しいように、理想の女の子であるAV女優さんと過ごすイベントは非日常で楽しい。「今週末は女優さんに会えるから仕事をがんばろう」と思えるのはすごく素敵で、すごくいい。彼女がいるから頑張れる、という存在になれるのは、女優さん自身もうれしいと思う。

だけど、それが行き過ぎて、自分のほかの生活を圧迫するようになって、「こんなに頑張っているんだから、相手も自分をトクベツに見てくれる」と期待してしまうのは、わたしはいいとは思えない。応援して、仕事や生活をがんばろうって思えるならいいけど、ファンの人自身が辛くなってまで、応援するのはよくないよ。自分自身のために、無理をしないでほしい。無理のない範囲で応援してほしい、というのは、この前、AV男優の一徹さんと話しときも話題にあがって、一徹さんも自身のサロンのなかで「金銭的に無理のない範囲で応援してほしい」と伝えた、と言っていた。応援したい、好きだから会いたい、そうやって思う気持ちはあるけれど、「生きがい」ではなく「依存」になってしまうのはよくないようにわたしは思う。

 

◆楽しくAV女優と接するための距離感

そして、わたしも自身、AV女優さんと近くなりすぎてはいけないとも思っています。メーカーで仕事をしているけど、AV女優さんの連絡先はひとりも知りません。相手からは聞かれないし、自分からは聞きません。女優さんのイベントにお客さんでいったりはするけど、AV女優さんと友達みたいに会うことは今までなかった。ふたりきりになるのは、イベントのときくらいです。

わたしなんか、何の権限もないけど、一応メーカーの人間なので、AV女優さんはわたしに気を使うと思う。仕事相手だから、AV女優として接してくれる。だけど、ギャラを払わないときまで、そんな気遣いを求めていいのか、とも思う。だから、みんな、すごい好きだけど、わたしからは距離を縮めすぎないようにしよう、と思っています。

それに好きなAV女優さんだと、わたしのほうも、AVにでている彼女を期待してしまうように思うんです。たとえば、わたしはあべみかこちゃんが大好きだけど、貧乳で、ちょっとテンションが低くて、たまに笑う顔のかわいいあべみかこちゃんが好きで、でも、プライベートであった時に、ハイテンションで元気がよくて、ハイタッチとかする、パリピなあべみかこちゃんだったら……それでも、きっと素敵だけど、なんか違うってなる。ちょっと落ち込んでしまうと思う。だから、あべみかこちゃんすごい好きだけど、仕事以外で会ってはいけないと思う。

お互い好きで居続けるために、適度な距離感は必要かなと思うんです。長く付き合っていきたいから、適度に、適度に、お互いが負担にならない範囲で一緒にいたいな。あべみかこちゃんかわいい。

 

光文社の「本がすき」というサイトで、「オナホ売りOLの日常」というタイトルの連載をはじめました。アダルトグッズ、AVの営業として、普段の仕事について書いています。よかったらこちらも読んでください。

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