オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

出演強要問題を大きくさせたのはAV女優への偏見ではないだろうか

去年から、AVモデルに対する出演強要が問題になっていますね。今年の10月には「NPO法人知的財産振興協会(IPPA)」や「一般社団法人表現者ネットワーク」「日本プロダクション協会」が加盟する第三者委「AV業界改革推進有識者委員会」が決めたAV制作にかかわる新ルールが決まりました。

 

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◆AV女優引退後に待ち受ける言葉の暴力

出演強要に関しても書かれている中村敦彦さんの新刊「AV女優消滅 セックス労働から逃げ出す女たち 」を読みました。読んでいていて一番苦しかったのは一番最初の、元単体女優へのインタビュー。スカウト会社の社長や現場でのやり取りも辛くなる物でしたが、引退後に付き合った恋人とのやり取りはとくに読み進めるのがつらい内容でした。

 

消せない過去のせいで最もダメージを受けたのは、引退してから3年後、彼氏に過去を知られたときにだ。『その彼にすごくヒドイことを言われ続けた。"お前は廃車だから"“もうこれから何もできないクズだから”って。そんなことを延々と言われた。その人にとっては『AV女優=女として廃車』。みんなそう思ってるよ、お前がわかってないだけでって。お前みたいなクズと結婚したい男は、この世に一人もいないって。まぁ、そっか。そうだよなって』

 

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 AV女優だった人は廃車でも、クズでもはない。人種や出身や性別や、その人自身の変えられない特徴をもって、その人を排除するのは差別にほかならない。それは過去だって一緒です。本人が努力しても変えることのできな「過去」を持ち出して、その人を線引きするのは差別に他ならない。

 

以前、AV出演を理由に番組を降板したアナウンサー松本圭世さんが話題になりました。AVだとわからずAVに出演したことをきっかけに、松本圭世さんはアナウンサーの仕事から遠ざかることとなります。

美人女子アナ“AV出演報道”の真相激白

 

説明なく出演させたAV業界は問題です。しかし、なぜテレビ局は批判されないのでしょうか。過去を理由に処罰をしたテレビ局は問題ではないのでしょうか。自分の意志ではなく、事故のように出演した松本さんに、なぜ降板という処分を下したのでしょうか。

なぜ過去を問われて松本さんは仕事を失ったのか。松本さんは分からないまま出演したけれど、もしAVだとわかっていて出演していれば、それを理由に仕事を失っても仕方なかったのか。テレビ局側の職業への偏見や差別はなぜ問題にしないのか。


ホステスのアルバイトを理由にアナウンサーの内定を取り消した日本テレビは、アナウンサーに「清廉性」を求める必要はあるのかと批判されました。

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同様の批判がなぜ起こらないのでしょうか


◆偏見に合わせて、可哀相な人になっていく

人は周りからのネガティブな評価に同化しやすい。心理学の用語でこの事象を「ステレオタイプ脅威」というそうです。シェリル・サンドバーグの書いた「オプションB」には以下のように書かれています。

例えば『女子は男子に比べて数学が苦手』と言う先入観が、アメリカをはじめ世界中に蔓延している。ある研究で大学生に数学のテストを行ったところ、テスト用紙に性別を書く欄があるだけで、女子の成績が男子を43%も下回った。だが全く同じテスト『数学テスト』ではなく『問題解決テスト』という名称で行ったところ成績に男女差は見られなくなったという。また別の研究で『言語能力を測る』と言う名目でテストを行うと、アフリカ系学生の成績が白人を下回ったが、同じテスト能力診断ではなく普通の課題として行った場合は、成績における人種さはなくなった。心理心理学者はこの効果をステレオタイプ脅威と呼んでいる。つまり、ネガティブなステレオタイプに同化してしまうのではないかと言う心理的不安である。
恐怖の声で思考が混乱し、ステレオタイプ通りの行動をとってしまうと不安は現実のものになる。この効果のせいで、多くの人種、宗教、性別、性的指向、バックグラウンドに属する人が不利な立場に置かれているのだ。

 

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「AVに出演して可哀相」、「人生終わった」と言うステレオタイプにふれることで、それに沿ったみじめで、可哀相な人になっていく。可哀相な自分になって、ただただ未来に希望がもてなくなっていく。人生終わった人になっていく。彼女たちは、人生終わってもいない。引退後だって幸せになる可能性は絶対ある。それなのに、世間の要求に合わせて、自分を不幸だと思ってしまう。

 

◆AV女優のセカンドキャリアを考えよう

風俗店で勤務した女性の再就職を支援する一般社団法人GrowAsPeopleという団体があります。わたしはこの団体のAV女優版がいつか現れないかと期待しています。

一般社団法人GrowAsPeopleの代表、角間惇一郎さんの著書「風俗嬢の見えない孤立」
によると、風俗店勤務の女性が、風俗店を辞める理由は体力的な問題が多いそうです
高齢になり、連日の身体を使う勤務に耐えきれなくなる。しかし、現実問題として、高齢で、風俗店以外の勤務経験のない女性の再就職は難しいといいます。

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AVのモデルは年齢の点では、風俗店勤務の女性と異なります。人それぞれですが20代半ばの若い年齢で引退する人もます。イベントや取材対応など、身体を売る以外の業務も多く、そこで培った社会性は他の職種にも流用できる。

これは私の意見ですが、多くのモデルさんは、コミュニケーションがとってもうまい。イベントでもお客様に合わせた対応をしています。このスキルは、接客など人と接する仕事に流用できるように思っています。

 

 
たくさんの方々が動き、出演強要は少なくなっていくように思います。だけど、AVを引退した女の子たちが「お前は廃車だから」「何もできないクズだから」と言われることはなくならない。自分で進んで出演したけど、引退した後にひどい言葉を浴びる。そのとき、彼女たちは「自己責任」という言葉で片づけられてしまうのでしょうか。

 

AVに出演したら人生は終わるのでしょうか
身体を売ったら人生は終わるのでしょうか

 

そんなことは絶対にない、AVに出ても、セックスを売っても、それで、その人がダメな人間なんてことは絶対にないはず。ひとつの過去で、人生すべてがダメなものになんかならない世の中にしないといけない。


AVに出たら人生終わるなんて絶対にないと思う。