オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

男性にとっての地下アイドルが、女性にとってのホストなのかもしれない。

ダメ人間なので、毎日テレビばかり観ています。毎週何番組も撮りためているので、ハードディスクの容量が足りません。それでそろそろ、観てないものを観て消さなきゃなと思いながら、NHKの「ねほりんぱほりん」の「トップオタ回」を見ていたら、はっとしました。

「で……デジェブ……」

先日みた、同番組の「ホストに貢ぐ女回」と酷似している……

www4.nhk.or.jp

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◆好きな人のために犠牲にする時間とお金

ホストに貢ぐ回とトップオタ回で酷似しているのは、献身的な姿勢。ホスト回では、寝る時間もなく風俗で働いたり、エース(ホストの一番の太客)になるために大金をつぎ込んだりする事例を、オタ回では、打ち合わせと会社に嘘をつきライブにいく、握手会で最後まで残るためにCDを150枚買うといったファンを紹介。どちらも、自分の時間やお金を犠牲にして、何かにつぎ込んでいるんです。

 

◆共感経済に生まれる発泡スチロールのシヴァ神

映像や音楽などコンテンツを消費する経済から、自分が共感できる人に投資する共感経済に移っていくと、以前ブログで書きました。ホストやアイドルの商売も共感経済に近いのかなって。

mochi-mochi.hateblo.jp

 

宇野常寛さんは、著書ゼロ年代の想像力の中で、限られた人だけの小さな組織のみで信仰される超越的な存在を、「発泡スチロールのシヴァ神と呼んでいました。ホストやアイドルも、まさに発泡スチロールのシヴァ神で、第三者から見れば、発泡スチロールのように、そこに大金を使う理由が分からないものに見えるけれど、当人たちにとっては神のように尊い存在。自分を犠牲にしながら、発泡スチロールのシヴァ神を信仰するという点はホスト好きとアイドルファンは似ているなと思った。

ゼロ年代の想像力

ゼロ年代の想像力

 

 

◆辛い・苦しいを解決してくれる発泡スチロールのシヴァ神

そして、どちらも、癒しを求めている部分もあるように思います。アイドル回では、お金を使った自己嫌悪を癒すためにライブに行く悪循環を紹介し、ホスト回は、夫婦関係が冷え切った主婦が、もし、旦那さんと仲良かったらホストにここまでハマらなかったかもしれないと、話していました。純粋に楽しいからいくという人もいるでしょうが、現実の辛い部分から目を背けるために、好きな人との非現実を味わう部分もあるようです。

 

◆社会性のあるオタと一対一のホスト

わたし、アイドルオタって、詳しくなかったのですが、オタク同士のコミュニティがあるようなのです。番組には、パネリストとして司会者と話す「トップオタ」が出演していたのですが、トップオタになるには、単純にお金を使うだけではダメなようです。前述した出演者も、激しいオタ芸をすることでトップオタになったと話します。ライブの回数、目立ち方、金額などを考慮して、ほかのファンから「あいつすげえやつ」と認められることでトップオタになるようです。なので、単純にお金を使うだけではトップになれない。

一方、ホストに行く女の子の間にコミュニティはありません。同じ指名の客が偶然居合わせることはありますが、双方のコミュニケーションはなく、むしろ競い合うライバル同士。ホストと自分の一対一の関係。そして、その関係を崩す他の客という構図です。

 

◆終わりが来るアイドルと終わりのないホスト

番組では自己破産したことで、アイドルオタを辞めたアイドルオタが紹介されました。パネリストとして司会者と話すアイドルオタも、アイドルオタを辞める覚悟で、彼女に電話番号を聞き、断られたことをきっかけにアイドルを辞めています。オタの活動は、社会性のある活動、一人のアイドルを複数ファンがライブやサイン会で応援する。ファン同士のコミュニティもできるし、一対多数であると分からせられる。だから、熱狂的になればなるほど、特別になりたいと思い、前述のパネリストのように特別になれないと分かったときが引き際になる。そして、やはり金銭的に活動が厳しくなったときも辞め時になる。

ホストが怖いと思ったのは、アイドルファンよりも辞め時がすくない。まず、ホストは客とキャストの一対一の関係。同じ指名の客が居合わせることはあるが、コミュニティはない。さらに、コミュニティ内の評価も含めてトップになれるトップオタと違い、ホストはお金を使った純にエースに近づける。エースになれば、特別になったように感じることができる。オタクが抱くような特別な存在になりたいジレンマはかんじられない。

そして、金銭的な問題に関しても、番組に出演したパネリストがそうであったように、ホストに行くお客さんは女性なので、身体を売る仕事につけば、なんとか大金を手にすることができてしまう。

 

◆少しだけ後味がよかったオタ回

少し、後味がよかったと思ったのは「トップオタ回」で、前述したように、携帯電話の番号を断られたことで、アイドルを辞めてしまいますが、その後は彼女ができ、幸せだと言います。

その彼女ができた理由を、握手会でアイドルと話したり、オタクコミュニティで認められたりすることで自信をもてたからと自己分析します。オタクコミュニティという社会性のある組織に属するので、仲間もできますし、コミュニケーションが苦手だった人も、だんだん、慣れていけたのかなと思います。

以前、前田裕二さんが著書のなかで、地下アイドルのライブをスナック的と書かれていましたが、アイドルとお客さんだけでなく、お客さん同士のゆるいつながりももてる場なのかもしれない。番組にでた人のように熱中してしまうのはよくないけれど、適度に楽しむ分にはいいのかもね。