オナホ売りOLの平日

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仙谷由人さんが亡くなってsengoku38を思い出す

仙谷由人さんが死んだ。

www.sankei.com

仙谷由人さんで思い出すのは、中国漁船衝突事件の瞬間を流出されたYoutubeの動画。sengoku38というアカウント名。当時海上保安官だった男が流出させた映像はメディアに取り上げられた。当時、わたしは大学生で、ジャーナリストになりたくて、就職予備校に通っていた。元新聞記者の講師が時事問題を解説してくれる。そこで、先生の娘が名探偵コナンが好きだという話になった。

「娘はね、マンガの推理も簡単に説いてしまうんだけどね、このsengoku38、3と8をかけ算すると24になるでしょ」

センゴクニシ。リベラルと言われた民主党政権。日本の海を守る覚悟で働いていた保安官が、領土を攻める諸外国に強気にでられない政権を歯がゆい気持ちで思っていたことは予想ができる。仙谷に死。本当の意味は今も分かっていないけれど先生の予想が当たったとするならば、アカウントの示した事柄は8年たった今起きてしまった。

調べてみたら、中国漁船衝突事件の映像が投稿されたのは2010年の11月。「震災前か」と、とっさに思ってしまった。民主党政権のイメージは大震災によってすべて上書きされている。普天間移設を声高に叫んだ鳩山由紀夫も、大臣になった福島みずほも、sengoku38もすべて薄まって、震災と原発で上書きされた。民主党政権は、震災の印象ばかりが残っているけれど、震災があった翌年に政権は自民党に移っている。リベラルな政党手放した大衆が反原発を声だかに叫んでいたのは少しおかしいなと、今になってみると思ってしまう。

 

◆反原発を訴える難しい本ばかり読む女の子

ちょうど、自民党に政権がうつったころ、反原発デモに参加している女の子がいた。彼女は大学には行ってない。専門学校を卒業したあとそのまま働いていた。インターネット上に難しい本の引用をたくさん投稿していた。意味ありげで意味のない引用文のあと、関係のない彼女の日常が続く。将来の子供に胸を張りたいと言ってデモに参加する彼女をわたしは少し距離を置いてみていた。

わたしは周囲の人がよく言わない物に興味を持つことが多い。学生時代は、ホールレスの炊き出しを手伝って、アルバイトではエロ本のAVの紹介分を書いた。多数派の人々は、顔をしかめるもの、悪くいうもの、そんなものが気になってしかたなかった。理由も言わず悪く言うのはなぜなのか、批判して終わりにしてしまっていいのか、臭い物に蓋をして終わりでいいのか。そんなことをずっと思っていたし、今でも思っている。当時は上手に言語化できなかったけど、反原発も、原発が悪いからなくせ、原発はすべての悪の元凶だ、で議論終わりにしていいのか、と思っていた。

 

原発に感謝していると話す福島出身の村西とおる

震災のずっとあと今から2年前くらいの話。テレビで、AV監督の村西とおるさんが、原発の話をしていた。2016年11月9日の東京MXのバラ色ダンディで以下のように語っている。

 わたしは、いわき市のあの地区の出身なんですよ。あれができた50数年前は、あの地区はとっても貧しい地区。わたしの地区なんですけどね。

わたしの同級生のお父さんなんかはね、みんな出稼ぎにいくわけ、東京に。それで、工事現場で死んだりするわけ。迎えに行くお金がないわけ、それで、骨で送ってもらうわけだ。それでもって、私の友達がね、うちの最後のおやじの体を見たかった、骨でかえってきちゃった、と号泣したことあるんです。

そういうように、あの阿武隈山地だから、土地もはっきりいって痩せている。海のほうは三陸と違っていい魚もとれないわけ。だから、東京に出稼ぎにいくしかないんです。その50数年前に原発ができたわけ。みんな喜んだ。出稼ぎに行かなくて済んだから。

今日50年後こうなったからって、あのへんの地区の人たちは、福島原発とか、東京電力に対する恨み辛みって、そんなにないですよ。感謝の気も、わたしもそうだけど、とても感謝の気持ち、原発に対する。自分たちの生活とか、家族離散とか防いでくれたんです、原発が。これで私たちは豊かになったって思いがあるから。

だから、今日においても東京電力の人たちはとっても一生けん命、親身になってあの地区でやってくれてますよ。そういう側面もぜひ室井さん(この日出演していた室井佑月さん)なんかにもご理解いただいて、決して、メディア騒ぐほど恩知らずでもないですし、原発この野郎じゃないんですよ。

 

村西さんは、「昔からあの辺に住んでいる人たちは原発東京電力に感謝しているんですよ」と言った。産業のない貧しい地域で暮らすため、出稼ぎにでて、ときには命すら落とす。悲しい過去を背負っているから、街に原発ができ、仕事ができ、みんな喜んだ。これで、家族そろって生活できる。

ああ、そうだよな。原発反対の陰ではお父さんの仕事がなくなって、お金がなくなって、学校にいけなくなる子供たちがいるかもしれないんだよな。原発があることで維持される世界。いつか壊れるかもしれない世界。だけど、じゃあ、ほかにふるさとで暮らす方法があるのか。田舎に仕事なんかない。そんなの、お金をかせぐだけの技術を習得しなかった人たちが悪いでしょ、と自己責任を地元の人に押しつけて苦しめて終わりでいいのだろうか。代替案のない状況で、いつか壊れるかもしれない幸せをむさぼること、それが一番マシな方法なんじゃないか、とわたしは思った。

過激なことを言う人、自分が正しいと思ったものを押しつけようとする人は一瞬立ち止まってほしい。過激な意見の後ろ側に、苦しむ人はいないだろうか。

福島のような事故はなくさなくてはいけない。家をなくし悲しい思いをする人を生み出さないでほしい。だけど、それは、今すぐ原発とめろという極論ではない。最善を考えていこうよ。こんな莫大な被害を被った国だ。そこで、たくさんの事象をみていたじゃないか。「こうしたら防げた」って後悔もきっとたくさんある。それを生かして、こんな事故が起こらない原発を目指したっていい。原発に変わる大きな発電所が作れて、同じくらいたくさんの人が雇えるならそれでもいい。できるだけ、不幸になる人が少なくなる方法を考えようよ。怒りではなく優しさで。

 

sengoku38がきてもなにも変わらない

原発デモに参加した彼女は数回だけ参加してデモ活動をやめてしまった。そもそも今は原発デモなど国会前で行われてない。今でも福島の作業は終わっていないのに。大衆はすぐに飽きてしまうんだ。

知的、賢い、人と違うと見られたい。自分のコンプレックスを埋めるために、過激な主張をアクセサリーのように身につける。誰かが傷つくことなど想像はしていないのだろう。原発デモに参加した彼女は、本の文面をいくつも投稿した。「自分には知性がある」「人と違うと認めてくれ」とアピールするかのように。過剰なアピールは自分が軽く見られているという自覚の裏返しだとわたしは思っている。だけど、想像力の欠如は、難しい言葉を並べても埋まらない。わたしは彼女のいまを詳しくは知らない。自分のなにかを埋めるために、誰かのささやかな生活を侮蔑し踏み殺していないことを願う。

sengoku38の動画から8年がたった。センゴクニシがきても、なにも変わらない。領土問題も原発普天間移設もなにも変わらない。変わらないものに怒りをぶつけエネルギーをそそいで、ぜんぶ無駄なことだった。極端な主張は、たとえそれが通ったとしても、世の中は改善されない。保守の主張も、リベラルの主張も怒りが原動力であるならば誰も幸せにできない。怒りはなにも解決できないんだ。みんなで一番マシな方法を考えようよ。

 
mochi-mochi.hateblo.jp

 

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人から見られる自分と、人から見られたい自分の間でもがきながら生きる人はたくさんいる。今までもブログでも書いてきました。よかったらみてね。