オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

オナホールを使わないオナホ営業

「商品使ったことあります?」

営業先の担当者さんが、これはセクハラとかじゃないですからね、と前置きをしてわたしに話した。「この仕事していて言っていいかわからないですけど、アダルトグッズ使ったことないんですよね。それなのに、自分が売っていていいのかなって疑問に思うんですよ。カタログに載っている情報しか伝えられなくていいのかなって」。

商品のことを勉強していれば、申し訳なく思わなくて大丈夫ですよ。そんなふうに言った。だけど、仕事としてセックスに関わる人に対して「プライベートでも性的なことをしろ」って圧はあるような気がするなって思った。

この業界に勤める人と話していたとき「この業界にいるなら、商品使わないとだめだよね」と言っていた。その人は仕事に一生懸命だし、わたしにも親切に接してくれる素敵な方だと思う。だけど、その言葉には肯定できなかった。自分で使わない人が業界にいたっていい。性の多様性を謳っているメーカーや販売店が、自分の嗜好を無視して商品を使えというのは矛盾しているきがした。使いたくないなら使わなくていい自由があるはず。

 

◆女性用生理用品を作ったパッドマン

ちょっと前にパッドマンというインド映画を観た。女性用生理用品を作った実在の男性をモデルにした話。主人公は妻が月経の際に汚い布を使う姿をみて、安くて清潔な生理用品を作ることを決意する。主人公は生理用品を使う女性の意見や、大学教授の専門知識を集め、自身が使わないにも関わらず生理用品を安く作る仕組みを作る。

この映画のような話はどんな業界だってありえるんじゃなか。月経のこない人が生理用品を売ったっていいように、自分で使わない商品を仕事として売るのは不自然じゃない。罪悪感を持つ必要だってない。別にアダルトグッズを使うことが、アダルトグッズを売る人の必須条件じゃない。

jisin.jp

自分で使って意見を上げるというのも、無駄ではないと思います。でも、それは、たくさんの意見のうちのひとつということを忘れてはいけないように私は思います。メーカーや店舗、売る側の目的はたくさんの人に商品を買ってもらうこと。多数派の意見が大切。だから、売れ筋のデータや市場の同行、数字や多数派の意見をチェックしないといけない。それプラスアルファとして、自分でも使って意見を言う、ということだと思うんです。

最初に話した店舗の方は「カタログのデータしか」と言っていたけれど、セールスをする人は、客観的なデータを伝えることが一番だとわたしは思う。アダルトグッズは人それぞれ、感じ方も違うので、自分の感性がすべての人に当てはまるとは限らない。「自分はこれ使って気持ち良かったです」という理由で商品を勧めるのはミスマッチが起こるかもしれない。「あなた個人の意見じゃん」と言われるかもしれない。だけど、「こんな機能がついていますよ」「この作りがほかと違いますよ」と客観的な利点を説明されれば、買った後に「思ったのと違う」ミスマッチするのが少ないよう思うんです。商品を理解すること、それがやらなくてはいけない仕事だと思う。

 

◆有名レビュアーとメーカーの相違

ただ、アダルトグッズを使い意見を発信することが、売れ筋を左右しないかというとそうでもなくて、アダルトグッズに詳しい方が、レビューをして、それが売り上げにつながるというのはあると思います。たとえば、わたしは、オナホールは使わないけれど、売れ筋の商品を確認する手段として「オナホ動画.com」は参考になるし、そこによく書かれた商品が売れるという話も聞く。

しかし、そのレビューは、メーカーではないという形でやるからこそ、信頼が増すように思います。売り手が、いかにいい商品だと話しても、それは宣伝であり、見ている側は、「会社の利益のために伝えてる」としか映ってしまう。一方、レビューサイトのような第三者の意見は客観的意見として聞くことができる。

そして、レビューサイトならばなんでもいいかというとそんなこともない。アダルトグッズのレビューサイトも、有名なもの、無名なもの、どちらもある。使って意見を言う側が、そのジャンルを極めなければ購入者の望む情報は伝えにくい。「オナホ動画.com」は2011年から続くサイトで、ほぼ毎日記事を更新し、記事の数は2000記事以上。そこまで続いているだけに、発信者側への信頼が見る側からあります。そういった発信者だから、アダルトグッズを使い、レビューする意味があるように思うんです。

使用者として商品を極めている人が会社の外側にいるのに、売り手側がまでも「よさを伝えるのは使うのが一番」というのはもうちょっと他にあるんじゃないかなって思う。売り手にしかできない伝え方がある。地味だし、すごい普通なことだけど、自分たちが扱う商品の客観的な長所であり、カタログを補足する機能面の特徴を伝えること、勉強すること。すごくすごく普通だけど、それが売り手がしなくてはいけないことだと思う。わたしもまだまだ勉強不足だし、できていないけれどね。

 

使ってよさを伝える、それも手段のひとつではある。だけどそれは、ひとつの方法でしかなくて絶対必要なことではない。ほかの商品のセールスと同じように商品の勉強やデータの収集が売り手には必須。それプラスでできる人だけ使えばいい。そんなふうに思ったの。