オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

人は見た目は1~2割くらい

美容院に行くとヘアカタログを見る。ショートカット、ボブ、セミロング、長さごとに女の人の顔がバーッて並んでいる雑誌。パラパラめくっていて、ふと「みんな可愛くないな」と思った。いや、もちろん、同級生にいたら可愛い方だし、合コンに連れて行けば喜ばれるだろう。今のわたしよりは、飲み会で男の子に「かわいいね」と言われる顔、みんな。それでも「かわいくないな」と最初に思った。ああ、そっか、AV女優をいつも見ているからか、と次に思った。比較対照がAV女優になれば、かわいくないように見える。目が肥えるという感覚はこの世界にいると感じることなんだと思う。業界で働いていた人が、町を歩いていても誰もかわいいって思えないんだよね、と言っていた。そりゃそうだ。S1やムーディーズの商品棚と比べたらどれも見劣りする。

 

わたしはこの世界に入るまでかわいいか、可愛くないかに無関心だった。そもそも、その人の顔が美しいいか判断できなかった。顔の善し悪しは数値化できない。具体的な判断基準がないぶん、よく見なければ悪いところが分からない。わたし自身、人の顔面に興味がなかったんだと思う。芸能人の顔も判別できなかったし、それなりに化粧をして、みなりを整えていればみんな、かわいい分類だと思った。

最近、暇つぶしに同級生のSNSを見ていた。仕事でうまくいったとか、結婚したとかそんな内容ばかり。同窓会の写真には、中学高校の同級生の今が載っていた。「みんなかわいくないな」。ヘアカタログを見たときの同じ感想が浮かんだ。卒業して何年もたって、年をとってかわいくなくなったんじゃない。みんな変わらないけどかわいくない。あの頃、クラスの中心にいた同級生も、彼氏と放課後手をつないで帰っていった同級生もみんな可愛くない。可愛くなかったけど、それなりに化粧して、制服を着崩して、友だちに囲まれていたら、かわいいような気がしていた。

 

この仕事をして、とびぬけてかわいい女の子たちをたくさん見てきた。AVの世界では、きれいで、かわいくて、男性の性や恋愛の対象となる女性が、毎月たくさんリリースされる。とびぬけて可愛い一握りの女の子がリリースされる。だけど、かわいくて、きれいな女の子たちであっても、出演本数を重ねるうちに、売れなくなることがある。彼女たちの容姿が劣ったわけでない。中には、「劣化」なんて下品なことを言う人もいるけれど、劣化したところでとびぬけてかわいい。多少の劣化が効かないくらい可愛い女の子たちです。でも、それでも売れなくなる。きれいやかわいいといった容姿の価値が、飽きられて、価値がなくなる。「かわいさ」とか「若さ」とか、女性として価値のあると言われる特徴に、大きな価値はないんじゃないか。

一方で、とびぬけて可愛いわけではない同級生でも彼氏は出来るし、結婚もするし、仕事をしてお金を稼ぎ、家族との時間をそれなりに楽しそうにすごす。そんなのを見ていると、「かわいい」「きれい」によってもたらされる利益は少ないかもしれないと、思うようになってきた。容姿の美しさは一時的な付加価値としては機能する。とびぬけて可愛い人じゃないと有名AV女優にはなれない。だけど、「かわいい」「きれい」だけで生きていけるほど、単純なわけではない。きれいだけで何年もお金は稼げない。「かわいい」「きれい」だけでずっと幸せで居続けられない。

だから、美醜を問われないスキルを身に着けたいなと思った。かわいいは飽きられるし、劣化もする。だけど、目先の楽しさを我慢しながら地道に身に着けたものは、目減りしないのかなって。一生懸命働きましょうね。