オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

可愛いだけが、女の子の価値じゃない

 たぶん、イベントか、なにかだったと思うけど、お客さんと女優さんの話をしたとき「でも、あなたの方がかわいいよ」って言われたことあるんです。気を使って、わたしが喜ぶと思っておべっかを言ったんだと思うんです。でも、わたしは喜べなくて、腑に落ちないような、ゴワゴワした気持ちなった。

◆私より可愛くないAV女優なんていない

少なくとも、私の売っている商品に、私より可愛くない人なんて一人もでていないと思っています。というよりも、「私の方が可愛い」と言える程度の女の子がでている商品、わたしは売りたくない。エロくて、綺麗な子を商品として撮影したものを、私は売っていると思っています。だって、彼女たちは「可愛い」や「綺麗」といった女性性を売るプロで、彼女たちの女性性には商品価値がある。だから、「あなたの方がかわいいよ」って言葉は、私の会社のキャスティング能力や女優を選ぶセンスを卑下しいるように感じて腑に落ちなかったように思う。

 

◆アピールポイントはひとつじゃない

雨宮処凛さんは、サブカルの1ジャンルとしてのエロが、サブカル好きな人から、判断力を奪っていくと書いています。

maga9.jp

 

「ああいうの観てたから、普通のセックスじゃダメだと思ってた。変態じゃないといけないと思ってた」

 ああ、わかる…と遠い目になった。別に変態にならなきゃとは思ってなかったけど、とにかく自分には価値がないと思ってた。それは当時のAVでは女優があらゆる「変態」と言われる行為に応じていて、「こんだけ可愛い子でも脱いでただセックスするだけじゃ商品価値がないんだから、お前らなんて徹底的に無価値なんだからな!」と言われている気がしたのだ。

 

すごく分かる。とってもわかる。脱いだらエラい、カゲキなことしたらすごい。そんな風潮はこの業界にはある。だけど、断るのは、ダサいことでも、ダメなことでもない。つまらないセックスをする人も、セックスをしない人もダサくないし、悪くない。

だけど、わたしは同時に、自ら女性性を売りにする女性、自らのエロさを売りにする女性がいてもいいとも思っている。自分がアピールできるポイントとしての女性性があっても良いように思う。そして、その女性性は、色んな価値の中での一つでしかない。

たとえば、今は、予定はないけれど、もし、仮に私が転職するとなったら、営業ができます、文章が書けます、そんな自分の能力を羅列された履歴書をもって面接にいくでしょう。その能力のひとつが「可愛いです」「男性に好かれます」「エロいです」でもいいと思っているんです。営業ができます、も、可愛いです、も商品価値になる。

 

◆自分の女性性を客観視する

AVを死ぬほど売っているので、自分がAV女優になったら、どのくらいの位置にいくか、だいたい予想ができます。自分の女性性のランクを自分で判断できる。一流に可愛い子と競合したとき、勝ち目はないでしょう。

以前、店舗でしつこく彼氏いるか聞いてきた客がいて困ったとブログに書きました。

 

mochi-mochi.hateblo.jp

 

実はこれには後日談があって、複数メーカーの集まる大きなイベントがあった際、その人がいたんですよ。私はしつこく付きまとわれた直後だったので、顏を覚えていて、目があって「あ」って思った。でも、彼は、私など気にもせず、他のメーカーの連れてきた抜群に可愛い専属女優のとこにいったんです。まあ、エロビデオ屋の中ではかわいくても、AV女優のなかにいたら埋もれる。かわいさって相対的に決まる部分もありますから。女性性で戦ったところで、勝算はないし、勝算のないところで勝負はしないほうがいい。

 

◆女性性=その人の価値ではない

「あなたのほうが可愛いよ」という言葉に違和感を持ったのは、言った相手が意図しているかわかりませんが、「あなたの方が価値がある」と言っているように感じたからというのもあります。可愛いほうが、上みたいに言われているように思った。私の思い込みかもしれないけど。

だけど、わたしの、というか、どの女の子の価値も「かわいい」だけじゃない。営業のやり方を知っていることだったり、文章をかくことができるということだったり、「かわいい」以外にも、わたしが価値を提供できるところはある。

可愛いのは彼女ですが、だけど可愛い彼女のAVを営業できるのはわたしです。イベントでたくさん人が来るのは彼女ですが、そのイベントを運営・企画するのは私の方が得意です。できる能力に優劣なんかない。わたしができること、彼女ができること、それぞれに価値がある。それを無視して、容姿という一つの能力だけで、上下を決めているようにおもった。

「女優さんが偉い」というのはこの業界にあるし、私もそう思う。彼女たちは偉い。ハードで気をつかう仕事をこなしながらも、私たちにはとてもいい人でいてくれる。この会社に入って会ったAV女優さんのなかで嫌な子は一人もいません。わたしは仕事のできる営業ではないけれど、それでも、嫌な顔せず仕事をしてくれた。画面にでている彼女たちは、いい人です。だから、せめて、彼女たちが、彼女たちが満足いくようにできる限り協力したいなと思う。

だけど、彼女たちと、わたしと、どちらが、価値があるとか、上とか、そんなことを問うのは愚問だと思う。わたしとは、別の形で価値を提供する人。私が提供できない価値を彼女たちはできるし、逆でもある。「みんなもれなく可愛いよね、ぐへへへ」って言える人が好きです。