オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

幸せだと思われたい欲求

大学の同級生が三度目のアカウント自殺をした。もちろん彼女自身は生きているだろう。今回、死んだのは彼女のインスタグラムのアカウントで、インスタグラムのアカウントが消えるのは初めて、アカウントが消えるのは3回目だ。

am-our.com

一回目の自殺はたしかツィッターで、親に進められるがまま入社した大企業での同期との楽しい日々を綴っていたが、1年経たずで更新は途絶えた。二回目は結婚式までの準備を綴ったブログ。ウェディングドレスを試着する幸せな姿で更新が止まった。そして、今回、今度は、ネイリストになると言い、レッスンの様子を投稿していたが、いつの間にかアカウントはなくなっていた。

本心がどうかは私には分からない。でも、彼女はひたすらキラキラした毎日を更新し続けた。そして、そのキラキラがマンネリ化し、目新しさがなくなるころ、更新は止まる。わたしはそれをみて、「幸せになりたい欲求」じゃなくて、「幸せだと思われたい欲求」みたいだな、と思った。周りから認められたい、幸せだと思われたい欲求。本当に自分が幸せかどうかなんて関係がない。

 

◆強すぎる社会的欲求

 佐藤航陽さんの著書「お金2.0」には、持続的かつ自動的に発展する経済システムは以下の5要素があると書かれています。それは「インセンティブ」「リアルタイム」「不確実性」「ヒエラルキー」「コミュニケーション」。そして、インセンティブ(報酬)は人の欲求に響く報酬でなくてはならない。本の中では、人の欲求に関して、以下のように記載しています。

インセンティブにも、人間の生物的な欲求(衣食住や子孫を残すことへの欲求)や社会的な欲求(金銭欲・承認欲・競争欲)もう満たすものがあり、複数の欲望が混ざっている場合もあります。

現代は生物的な欲望よりも社会的な欲望が目立ってきていて、中でも頭文字を取って3M(儲けたい・モテたい・認められたい)の3つが欲望としては特に強く、これらを満たすようなシステムは急速に発展しやすいのです。

 

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

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 現代は社会的欲求が人を動かす。だからこそ、人間の社会的欲求を利用したサービスが発展する。他人から認められる欲求、評価される欲求が、今の私たちの行動の根幹にあります。私たちは、強い社会的欲求を持っていること、幸せに思われたい欲求をもっていることを自覚しないといけない。

 

◆よい父という虚像

 たまに会う少し年上の知り合いの男性で、すごく子煩悩で、自分の子供の話ばかりをする男性がいました。それを聞いて「良いパパですね、お子さん幸せですね」とか相槌をうっていたんですが、人づてに、少し前から家庭の事情で、お子さんと離れて暮らしていることを知りました。きっと、わたしには話したくない事情があったんだろうな。そこまで、深い仲ではないし、心配させたくなかったのかもしれない。

だけど、私に話していた「子煩悩な父親像」は虚像だったと思うと寂しくもなった。きっと、その虚像に騙され続けてあげるのがやさしさだと思う。だけど、騙され続けるのは、私が辛かった。大げさだけど、嘘をつかれた気持ちになった。

彼の話す虚像を、私が許容して騙され続けるのがやさしさだとも思います。だけど、私は、なにも知らないふりをしながら「先週の日曜日、天気よかったし、お子さんとどこかいったりしました?」と、聞いてしまう。少し困った顔で、家でゆっくりしていたかな、と、いないはずの子供と過ごした休日を彼は答える。私はそれを見て、いつまで嘘つくんだろうと、思ってしまう。

私はきっと、他人を許容できる範囲が狭い。見栄をはって嘘をついたことが分かったとき、少し裏切られた気持ちになってしまう。容易に分かってしまう嘘なんてつかないで、子供の話なんかしなければいいのに、子どもがかわいいよ、幸せだよ、なんて、深く突っ込まれたら困ることをいわなければいいのに。自分が幸せだなんて見栄はらなければいいのに。

自分が嫌な思いをしたからといって、相手が嫌がることを言っていいわけじゃない。だけど、私は、自分を大人げないなと思いながらも、相手は嫌だろうなと思いながらも、答えにくい質問を知らないふりをしていってしまう。そして、同時に、彼を少し、見下すような軽蔑するような目で見てしまう。「幸せに見られたい欲求」に振り回されているなと。

きっと、「よいパパ」になりたい彼は、今が幸せか分からないから、周りに「今、幸せだよ」と言うことで、自分の決めた道を納得させたいのかもしれない。最初に書いた彼女も、もしかしたら、幸せだと実感できる日々じゃないのかもしれない。自慢する人ほど、今の自分に自信がなかったりするんだよね。いつか、私は寛大な人間になって、そんな人も受け流せるようになりたいな。