オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

セックストイをフェムテックにしてしまっていいのだろうか

全国紙の新聞に、女性向けセックストイの一面広告が載ったと話題になった。同業者として素晴らしいと思う一方で、これが正しかったのだろうかと、思ってしまった。

 

昨今フェムテックという分野が盛んなっている。フェムテック分野の展示会「Femtech Tokyo」のサイトには以下のようにある。

www.femtech-week.jp

女性のライフステージにおける「生理・月経」「妊活・妊よう性」「妊娠期・産後」「プレ更年期・更年期」などの様々な課題を解決できる製品やサービスをFemtech と呼び、2025年までに5兆円規模の市場になると言われています。

 

女性向けセックストイも「フェムテック」のジャンルにくくられることがある。全国紙にもフェムテック商品のひとつとして掲載されたのだろう。だが、セックストイを、生理用品や更年期関連の商品と同列の「女性ならでは悩み」を解決する商品にしてしまっていいのかと、わたしは少し疑問に持っている。

生理用品は生活必需品だ。生理は、ある年代の女性ほぼすべてに、定期的に訪れる体調変化で、避けることができない。強制的に来る。だから、それに対処する商品は、なくてはならない、歯ブラシやトイレットペーパーやシャンプーと同じような物だ。

だけど、セックストイはそうではない。極論、なくてもいいものだ。なくてもいいけれど、あったらより楽しくなる人もいるし、幸せになる人もいる。いってみれば嗜好品だ。漫画やゲームやアニメなどと同じ趣味のものだ。だけど、「フェムテック」の分野においては、「趣味のもの」と「必需品」を同列に扱う。

 

女性向けセックストイが全国紙に広告掲載されたが、わたしが知る限り、男性向けセックストイの広告が、掲載されたことはない。セックス関連商品は賛否の別れるものであり、かつ、子供など一部の人たちの目にふれないように扱う商品だと思われている。それは、適切な対応だとわたしは考えている。

男性用セックストイは公にはしにくい。だけど、なぜ女性用ならばいいのだろうか。わたしの想像だが「女性ならでは商品」「フェムテック商品」というくくりでくくられ、生理用品と同じ認識をされているのではないだろうか。生理用品は全年齢対象の広告をだせる、だから、同じように女性ならではの商品として広告掲載した。

 

だけど、すべての女性が避けられない生理の問題と、趣味の商品であるセックストイを同列に扱ってしまうことで、本当にいいのだろうかと悩む。

わたしの立場を考えると喜ばしいことなのだろう。わたしの働いている会社はアダルトグッズを扱っていて、吸引ローターなど女性用のアダルトグッズも販売している。商品がメジャーになって、もっと売れますよ、と言われたらそれはすごく魅力的なのだけど、自分の倫理観として、それをしてしまっていいのかと、葛藤する。
売れてほしいけど、生理用品と同じくくりにしてしまうのはよくないのではないかと、
女性として考える。それは生理の問題の重要度を下げることにはなってしまわないか。


残念ながら、生理用品を生活必需品だと思わない人もいる。一部の男性からは生理用品を「嫌らしいもの」と捉える認識があるらしい。災害の避難所で生理用品を「不謹慎」と言う男性がいたという記事もある。

www.j-cast.com

 

生理を「嫌らしい」「不謹慎」と感じる認識はおかしい。世の中の、その認識を是正してほしい。一方で、生理用品とセックストイを一緒のくくりにしてしまうのは、その是正を後退されはしないか、と自問している。

SNSをたどっていると、生理用品が必需品ならば、オナホールも必需品だと主張する男性もいるらしいと分かる。娯楽品であるセックストイと、必需品の生理用品とでは重要度が違う。オナホはなくても死なないが、生理用品はなくては生きていけない。それは、女性向けのセックストイでも一緒だ。なくても生きていける。だから、なおの事、女性向けセックストイを生理用品と同じ「フェムテック分野」にしてしまうことへの罪悪感や疑問みたいなものがずっとある。だけど、それは自分の扱う商品の可能性を縮めることにもなる。
解決できない葛藤を抱えながら、わたしは働いていくしかないか。