オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

妊婦に席を譲るなというツィートを批判していいのだろうか

会社の忘年会で風邪をひき、鼻を垂らしながらファミチキ食べ過ごしていた12月23日。私同様にクリスマスに似合わない不幸せなツィートを見つけました。

 
妊婦さんにやさしくしようって気持ちは理解できる。だけど、「親切の強要だ」という人を批判するだけで状況が改善する問題ではないような気がしています。
 
経済産業省が発表したレポート「不安な個人、立ちすくむ国家」では、正社員になり定年まで勤め上げ、家庭では結婚して子供をうみ生涯添い遂げる、昭和からある中流階級の生涯「昭和の人生すごろく」を完結させるのが困難になっていると記載しています。
1980年生まれで結婚して生涯添い遂げる人は58%(1950年生まれは81%)
1980年生まれで正社員になり定年まで勤め上げる人は27%(1950年生まれは34%)
では、若い人たちは、自らの意思で、昭和の人生すごろくを降りたのかというとそんなことはなさそうです。国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によると、未婚男女の約9割が結婚したいと思っています。
 
未婚者が結婚できない理由を問うと、男女とも「結婚資金」を挙げた人が最も多い。「職業や仕事上の問題」を障害に挙げる人も増えている。
 
「結婚資金」が経済的な問題であるのはもちろんですが、今、結婚適齢期になる20代、30代は就職氷河期(1993~2005年)、リーマンショック(2008年)と就職しにくく、非正規を選ぶ人も多かった世代です。「職業や仕事上の問題」を理由にする背景には、仕事の雇用形態や給与も含まれていることが予測できます。
 
「昭和の人生すごろく」をすすめなかった人たちから見ると、結婚し、妊娠している人は、昔ながらの安定した幸せを手に入れているように見えるかもしれません。シングルマザーの貧困の問題もあります。子供を産む人すべてが豊かな生活を送っているわけではない。だけど、結婚や出産を躊躇している人から見ると、「自分たちができなかった幸せを手に入れている」ように映る(もちろん、だからって、妊婦の方を追いつめて良い理由にはなりませんが)。
 
「不安な個人、立ちすくむ国家」に関して経済産業省の職員の意見や、見識者へのインタビューを書いた書籍「不安な個人、立ちすくむ国家」の中で批評家の東浩紀さんはお金がないのであれば、福祉をある程度縮小し、範囲を拡大し、民間の寄付や支援を活性化すべきと主張しています。
不安な個人、立ちすくむ国家

不安な個人、立ちすくむ国家

 

東浩紀さんも言っていますが、寄付や支援の文化でどこまでカバーできるかは分かりません。しかし、私も福祉の範囲を拡大するという意見には賛成です。国を保つために子育て支援を行うべきという主張も、それを行うことでもメリットもわかります。しかし、そこにお金を集中させることで「そうでない人」との溝は深くなる。これは子供の有無に限ったことではありませんが、どれかひとつのグループのみを優遇することで、そうでない人は、自分が冷遇されているように感じ、グループ間での対立がうまれます。

 

むかし、リクルートの代理店で働いていたとき、「仕事に打ち込んで、結婚も出産もしななら別だけど、そうでないなら正社員になるのは難しい」と言われたことがあります。結局、わたしは他に行きたい会社が見つかり退職しましたが、仕事がいいか、結婚するか、二択を迫られて、どちらかを諦める人もいるのかもしれませんね。