オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

女性AV監督はテレクラキャノンボールを作れない

ツイッターを流し読みしていたら、AV監督の平野勝之さんのツィートを発見しました。

なんか、とっても分かる。批判や反論はたくさん来そうだけど、AVは女性には分からない世界だとわたしは思います。というよりも、AVを分かったきになってはいけないと思う。私自身、AVは好きだし、AV女優はとてもすき。だけど、男性の言う「AVが好き」とは違うかもしれないという意識は常になくしてはいけないなって思う。男性と同じ感覚で、好きになることはできないし、感覚的な部分では理解できてないかもしれない。自分には分からないかもしれないという意識があるから、仕事としてAVを売るときはデータや資料や客観的に得られる情報を大切にしている。

以前、伺ったイベントで編集者の湯山玲子さんが「テレクラキャノンボールを見て笑う女性に違和感がある」と語っていたけど、それに似ているのかもしれない。

www.cyzowoman.com

男と同様、大爆笑できるというのは、女性が、いや女性ではなくすべての人間が持っているミソジニー、女嫌いの、ある意味自然な発露でもある。頭は完全に男として仕事して、男友達と話が合って、男同士の下ネタにも大笑いできるけれども、その一方で、世間一般で言われている女らしい行動や態度は苦手で、私生活において性的にリッチではなく、自分の精神と女の身体、女の身体を使った現実的なセックスは乗りこなせていない、というのは、いわゆるこじらせ女子、文化系女子として今や、少数派ではないですからね。男子だけの部室に入れてもらったという感覚ですよね

テレキャノが好きな女性は、本質的に共感も理解もしていないけれど、「名誉男子」になるための道具、男の人と同化して男性コミュニティに入るための道具としてAVを利用しているように見えてしまう。

 

◆AVに女性らしさはいらない

以前、ブログでも書きましたが、女性はセックスに対しての興味は薄い。

mochi-mochi.hateblo.jp

恋愛の一環としてセックスがあるだけです。好きな人とするセックスはしたいですが、セックスそのものをしたい女性は少数。つまり、恋人ではないAV男優や監督や共演AV女優と女性がセックスするAVは、女性自身が自分に置き換えてしたい行為ではない。

 それはどんなAV企画でもそうです。好きでない男性(もしくは女性)と性行為をすること事体が女性にとって魅力的でない。逆に、イケメン男性との疑似恋愛を想像させ、女性が楽しめるシルクラボのような作品は、男性にとっては魅力にはなりえていません。

男女によって、魅力的に見えるAV作品が異なります。だから、男性向けの、一般のAVを作る側には「女性らしさ」とか「女性の視点」とかは不要だと思うんです。女性AV監督さんもたくさんいますが、長く続いている人は、男性に喜ばれる作品をつくれる方のように思います。

たとえばV&Rのさいゆ~き監督は業界歴の長い女性監督のひとりです(一度、ちらっとお会いしたことがありますが、とても話やすくて素敵な方でした。先方は覚えてないかもしれませんが一方的にすきです)。彼女の作品を見ると彼女自身の個性とか、女性視点とかを感じるものではなく、「うんこ」「スカトロ」といったV&Rのメーカーの色にあった作品を愚直に作り続けている印象です。

女性AV監督とし、男性の見るAVを作り続けられる人は「男性に近い感覚を持つ人」か、「メーカーの色にあった作品を職人的に作り続ける人」、どちらか、なのかなって思います。

クリエイティブな仕事の方は「自分の色を出したい」「自分らしいもの」を作りたいと思うでしょうが、自分の作りたいものと求められるものが一致している、もしくは、自分を殺して求められるものを作れる人でないと残っていけないのかもしれません。

 

◆テレキャノ的空間と戦時下レイプ

そして、男性の持つ性欲は、単純に射精をしたい欲求ではないのかもしれないと思います。先日のブログでも書いた、上野千鶴子さんの著書「ナショナリズムジェンダー」には、戦時下でのレイプに関してこのように記述があります。

この『強姦』はつい最近まで、女性から長く隔離された男社会に生きる兵士たちの『獣欲』で説明されていた。しかし平時の『強姦』神話が次第に解かれ、加害者の男性は『性欲』から『強姦』するわけではないことが明らかにされて以来、『戦時強姦』についても男性学の立場から新たな理解が成立するようになった。彦坂諦は『男はそれを我慢できない』と言う『男性神話』を批判し、強姦が男性の権力支配の誇示のために行われること、とりわけ戦時強姦はその複数性(輪姦)に特徴があり、弱者への攻撃を通じて連帯を確立する『儀式』であると論じる。事実、戦時強姦はしばしば『顧客』のいるところで行われることがわかっている。

射精をしたいではなく、男性同士のつながりを維持するためにセックスを使うというのは、テレクラキャノンボールにも似ているのかもしれないなと私は感じました。

もちろん、合意の上でセックスするテレクラキャノンボールと、戦時下の強姦は女性に対する影響は大きく異なります。わたしはどんな性的願望をもっても良いと思いますし、愚かな妄想を抱く権利もあると思いますが、レイプなど女性の人権を侵害する行為を実際にするのはあってはならないことと考えています。戦時下のレイプを肯定するわけでも、テレキャノの行為を犯罪だと糾弾するわけでもない。ただ、行為の根幹にある部分は似ているように思いました。

女の子とのセックスを使って男性同士の結びつきを強めるとてもマッチョなコミニティ。湯山さんが違和感を持っていたのは、自分自身とのセックスが男性を連帯させる道具にされているのを笑って見られるのか、というところのように思います。
mochi-mochi.hateblo.jp

◆女性受けしないからこその魅力

手あかのついた言葉ですが「AVはファンタジー」です。実際には叶えられない男性の願望をかなえるためのAVです。夢を見せるための作品です。だからこそ売れる。その願望は女性の立場にたったら、嫌な気持ちになるかもしれません。だから、現実世界では行わずに、願望をファンタジーのなかで昇華しているのです。わたしも含め、女性が入ってきた業界になりましたが、女性受けしないマッチョな作品こそが魅力的なAVなのかもしれませんね。

 

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余談ですが、先日、お仕事でカンパニー松尾さんにお会いしました。とてもフレンドリーな方で、人見知りのわたしにたくさん話しかけてくれました。とても素敵な監督さんです。カンパニー監督の新作映画も公開されているようなので見に行きたいな。

idol-cannon.jp