オナホ売りOLの平日

大人のおもちゃメーカーで働くOLのブログ。

AV監督バクシーシ山下は人心掌握の天才だ

先日、アイドルキャンノンボールを見てきたよ。

 

idol-cannon.jp

 

アイドル事務所WACK所属をかけた合宿オーディションの様子を7人の映像監督が撮影していくドキュメンタリー。監督が2〜3人一組で、分かれて、3つのアイドルチームの撮影を担当する。担当したアイドルチームが評価されたり、候補生やアイドルと撮影者が接触を持ったりすることで点数が加点されていき、合計点を競い合う。大枠はテレキャノと似ているけど、相手がアイドルになり、エロな内容がすくなくなった感じ。見ていて印象に残ったのは、バクシーシ山下監督と岩淵弘樹監督。とくに、バクシーシ監督は、いやな奴だけどすごく好きだな。

mochi-mochi.hateblo.jp

 

◆目的のために感情を入れない

バクシーシ監督が撮影を担当するグループ、「GANG PARARAD」が審査で他のグループに負け落ち込むシーン。落ち込むメンバーたちに、バクシーシ監督が慰めるように、肩をたたくのだけど、この肩をたたくという行為が、接触として加点になるんですよね。円になるメンバーひとりひとりの肩を、しんみりとした表情のバクシーシ監督がそっとたたく。そして、シーンがかわり、バクシーシ監督のインタビュー。アイドルは興味ないという趣旨の発言を監督はけだるそうに話す。このやりとりで、バクシーシ監督がとてもなく好きになった。

目的のためだけに行動する、自分の感情を全く入れないバクシーシ監督の様子は他のシーンにも随所にあった。女の子へのアプローチする際もターゲットを分析している。「あの子、情に訴えかければいけるよ」など、女の子ごとの戦略をたて、加点する目的を達成していく。あの7人の中では岩淵さんも近い方法だったように思う。どちらも「仕事」としてこの映画に挑んでいる。

 

◆AV監督としての観察眼

目的達成することを最優先に動くというのは、バクシーシ監督のほかの仕事にも共通する姿勢のようです。バクシーシ監督の著書「セックス障害者たち」を拝読すると、監督の仕事の仕方、そして、女優や男優への観察眼を垣間見ることができます。

セックス障害者たち (幻冬舎アウトロー文庫)

セックス障害者たち (幻冬舎アウトロー文庫)

 

 

彼女はAV業界が好きだから、AVギャルが止められないんですよ。といっても「セックスが好き」とか、そういう意味じゃなくて、認められたことが嬉しいんです。クラスに1人くらい、いじめられっ子の女っていたじゃないですか。運動はできないし、勉強はできないし、給食も1番食べるのが遅くて、おもらししたことがあって。雑巾とかバーンってぶつけられたり、もうどうしようもないのが。

*1

 

この女の子を選んだ理由は、こう淡々とセックスして、「キャー、イヤー」じゃなくて、本当に自分から好きでやっているわけでもなくて、まぁしょうがないかなぁとやっているような感じのレイプを取りたかったからです。いってみれば、AVのセックス自体がレイプじゃないのかと。この松本のような性格の子が多いんですよ、AVギャルって。いやと言えない優柔不断なさせ子体質。だから何にも理由をつけなくても取るもの全てレイプになるっちゃなる。

*2

 

風俗とのスタンスの取り方がちょっと普通じゃないでしょ。生活と風俗が密着しているんです。風俗の仕事をするときに、全然ハードルがない。普通のアルバイトと性風俗を同じレベルで考えているんです。それが取り繕った普通じゃなく、ごく自然体なんで面白いなぁと。

*3

 

◆受け取り方を計算しつくした撮影

書籍は、バクシーシ監督が制作した作品を1本づつ振り返る体裁をとっていますが、女優の外見を褒める記述はほとんどない。よいと言えない外見、話し方や行動、接した印象をもとに、彼女たちの性格や内面をバクシーシ監督自身が推測している。そして、出演者の特徴を推理したうえで、映像作品として、彼らをどのように使うと、見せたいように見えるかを計算している。監督は本のなかで男優を選ぶ基準をこう話します。

基本的に、僕は自分が嫌だと思うやつを出演させるんです。自分の感情だけが物差しなんですけど、そういうやつは、大抵女の子だって嫌なわけじゃないですか。しかも現場で、そいつの嫌な面だけが出るように持っていけば、そりゃ、女の子も嫌がりますよ。大体セックスが前提のAVでレイプを撮影するなんて、すごい矛盾じゃないですか。だから意識的に女の子が嫌がることをやらないと、臨場感が出ないんですよ。

 どう見えるかを計算した配役や取り方。視聴者が、自分が意図したように見るように計算して作り込んでいる。本の最後に載った解説で、作家の高橋源一郎氏はこう書いている。

ほんの少しだけ、垣間見えるだけのバクシーシ山下の世界とは、不思議な悪夢のような世界です。いや、彼の目を通して見た現実のなんと現実感のないことでしょう。異様な人間たちが次々と現れ、次々ととてつもないことをしていくのに、彼は少しも興奮していない。もしかすると、現実とは、本当は彼が見たようなものなのではないか。悲惨も異常もなく驚きも衝撃もない。実は愛も哀しみもなく、それ故本当の苦痛もない。

興奮も愛も哀しみも痛みも、なにも思うことなく、ただ、淡々と相手が自分の思った通りに、思ってもらえる映像を計算づくで撮っていく。そのためには、人にどう思われるとか、自分をこう見てほしいとか、不要な自我がない。仕事をする人としてとてもかっこいいな。視聴者も女優も男優も、相手を徹底的に分析して、自分の通り動かしていく。ただ、絶対、親しい人にはなりたくないな。

 

◆おじいちゃんのようでとっても怖い人

アイキャノの前半、バクシーシ監督と、添い寝(これも加点の対象の接触行為)をしたアイドル候補生がこんなようなことを言っていました。

「すごく色々話せる年上の人。おじいちゃんの次くらいに、なんでも話せる」

おじいちゃんみたいな顔をして、どんどん人を落とすテクニック怖すぎだな。近づきたくないけど、とっても好きになる。

*1:「錯乱‼︎監禁陵辱72時間」の君島紀子に関しての記載

*2:虐犯の松本英仁香に関しての記載

*3:18歳の二宮のりきに関しての記載